今日は、商標審決を取り上げてみようと思います。
具体的には、「LONDON」の文字を含む商標を出願したところ、審査段階では、指定役務との関係で「英国製の宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがある商標であることを理由に拒絶査定がなされ、その拒絶査定に対する審判が請求された事案です。
(1)商標法第4条第1項第16号の趣旨について
本号は、商品の品質又は役務の質(以下、役務についてのみ述べる)の誤認を生ずるおそれがある商標については、公益に反するとの趣旨から、商標登録を受けることができない旨を定めたものである。
同趣旨に照らすならば、役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標とは、指定役務に係る取引の実情の下で、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される質と指定役務が有する質とが異なるため、商標を付した役務の質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである。
以下、これを前提として、本願商標についてみる。
(2)本願商標は、別掲に示すとおり、図形と文字の組み合わせよりなるところ、その構成中の図形部分は、一種の「紋章」を表したものと理解・認識されるものである。
そして、その「紋章」の中央部の「バナー」内には、大きく「LONDON」の欧文字が表されているものであるが、たとえ、該文字が、原審説示の如く「英国の首都名」を意味する語であるとしても、この「紋章」と一体となった態様においては、直ちに「英国産」ないし「ロンドン産」という産地名を表すものとして看取されるものとはいい難く、また、役務の提供場所等を直接的、かつ具体的に表示しているものとも認められないものである。
そうすると、その「紋章」中の「LONDON」の文字は、その「紋章」の構成要素の一部として看取されるものとみるのが相当であるから、せいぜい「ロンドンという名の紋章」であると認識される以上に、その役務に係る提供場所等を表示するものとしては認識されないというべきである。
むしろ、その「紋章」の下に表された「DIAMOND GALLERY」の文字との関連からすれば、これに接する取引者、需要者は、その指定役務との関係では、「英国産の宝玉等の小売り等」というよりは、「ロンドンという名称のダイヤモンドを小売りする店(ギャラリー)」を表したものと理解し、認識するものとみるのが自然である。
してみれば、本願商標は、その指定役務に使用しても、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるということはできない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は、妥当でなく、取消を免れない。
商標中に地名が入っていても指定役務を限定しなくともよいという意味で重要な審決例かもしれませんね。それではまた次回。
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