特許庁の最終判断:商標審決 第56回

今日は、商標審決を取り上げてみようと思います。
具体的には、「il・elle」の文字からなる商標を出願したところ、審査段階ではフランス国所在の「アシェット フィリパキ プレス ソシエテ アノニム」が商品「雑誌」等に使用して著名な商標「ELLE」と酷似する「elle」の文字を有してなる商標であることを理由に拒絶査定がなされ、その拒絶査定に対する審判が請求された事案です。

本願商標は、前記1のとおり、「il・elle」の文字を書してなるところ、該構成文字は、同じ書体、同じ大きさで、外観上まとまりよく一体的に表されており、その構成中の「il」の文字が「彼」等を、「elle」の文字が「彼女」等をそれぞれ意味する仏語であるから、全体として「彼、彼女」等の観念を生ずるものということができる。そして、これより生ずると認められる「イルエル」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものであって、他に構成中の「il」又は「elle」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情を見いだし得ないものであるから、本願商標は、構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握されるとみるのが相当である。
一方、原審において引用する「ELLE」(以下「引用商標」という。)は、その構成文字より、「エル」の称呼及び仏語の文字の意味として「彼女」、及び雑誌の「ELLEブランド」という程の観念を生ずるものということができる。
そこで、本願商標と引用商標とを比較するに、本願商標と引用商標は、それぞれの構成よりみて、外観上明らかに区別し得る差異を有し、また本願商標より生ずる「イルエル」の称呼と、引用商標より生ずる「エル」の称呼とは、音構成の差異等により、明瞭に区別できるものであり、さらに観念についても、上記のとおり区別し得るものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
してみれば、たとえ、引用商標が商品「雑誌」において広く知られているとしても、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起するものとは認められず、該商品が「アシェット フィリパキ プレス ソシエテ アノニム」又は同人と経済的、組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものということはできない。
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。

商標全体として判断されたのが功を奏したようですね。それではまた次回。

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